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延岡市では令和3年3月27日に、ペット防災の普及啓発の一環として、九州保健福祉大学の加藤謙介准教授を講師に迎えて防災講演会を開催しました。今回、その講演会を動画として公開します。
熊本地震など被災地でペット防災に関わってこられた経験をもとに、平常時からの備えやペットとの同行避難などについてお話いただきました。
加藤准教授の動画説明コメントと併せて、ぜひ、ご覧ください。
九州保健福祉大学臨床心理学部臨床心理学科で教員を務めております、加藤と申します。
この動画では、「そなえよう!みんなとペットの災害対策」と題したお話をさせていただきます。
災害が多発する昨今、犬や猫などの「ペット」への対応に関心が高まっています。
「災害時は人間が優先」だからこそ、ペットを飼っているかどうかに関わらず、「みんなが助かる地域社会」をつくるにはどうすればいいか、これから皆さんと一緒に考えていきましょう。
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私たち人間は、様々な場面で動物たちとの関わりを築いています。
たとえば、福祉施設での「アニマルセラピー」は「癒しの関係」を生み、小学校での「動物介在教育」では「学びの関係」が築かれます。
一方、地域社会では動物が原因で「住民トラブル」が起きることもあり、意見や立場が異なる住民同士のコミュニケーションが大切になります。
他にも、家畜や野生動物とのかかわりもありますが、今回は、犬や猫などのペット(家庭動物)との関係を中心に、災害対策の話題を進めます。
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私は、2016年4月14日に発災した熊本地震をきっかけに、熊本県益城町で被災された飼い主の方々とそのペットのお手伝いに関わるようになりました。
熊本地震被災地や、その後の令和2年7月豪雨被災地での支援活動での経験、さらに令和2年台風10号時の延岡での対応から、災害時に人もペットも「みんなが助かる社会」を目指すには、防災・減災に関する「情報」だけでなく、人と人との丁寧な「コミュニケーション」や、多様な人々の「連携」が必要になることに気づかされました。
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「人とペットの災害対策」には、大切な4つのキーワードがあります。
第1に、災害があっても誰も排除せず「みんなが助かる地域社会づくり」をめざす「インクルージョン(包摂)」。
第2に、過去の災害事例での知恵や防災・減災のノウハウなどの「インフォメーション(情報)」。
第3に、「情報」を活用して人もペットも助かるための防災・減災力を高めるための「コミュニケーション(対話)」。
そして第4に、「みんなが助かる地域社会」づくりを目指すための様々な関係者による「コラボレーション(連携)」です。
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災害時に、人もペットも「みんなが助かる地域社会」を目指すため、ペット飼い主、地域住民、防災・動物関係の方々それぞれにできることがあります。
特にペット飼い主の備えとして、日ごろからペットを適切に飼う「適正飼養」が最も大切になります。
一方、「ペットとどこへ逃げるのか(ペットがいるから逃げられない)」問題を解決するには、
の2つが必要になります。
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日本国内では、2020年時点で、犬が約849万頭、猫が約964万頭飼育されています。
これは15歳未満の子ども人口(1512万人)よりも多く、ペットを「家族」と思う方が、それぞれの地域に大勢住んでおられると考えられます。
このため、例えば避難所を無条件にペット禁止にすると、逃げ場を失ってしまう方が少なくないかもしれません。
一方、ペットは「動物」なので、病気や障がいのため一緒に居られない方もおられます。
だからこそ、ペット飼育の有無にかかわらず、災害があっても「みんなが助かる地域社会」づくりが求められます。
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2018年に環境省が発行した『人とペットの災害対策ガイドライン』には、「同行避難」(災害の発生時に、飼い主が飼養しているペットと同行し、指定緊急避難場所等まで避難すること)、「同伴避難」(被災者が避難所でペットを飼養管理すること)等、「人とペットの災害対策」の基本的な考え方が紹介されています。
災害発生直後の救急救命期から、復旧、復興へと続く長い時間の中で、様々な課題に対応し、「人とペットの減災」を進めるために、自助・共助・公助の「連携」が欠かせません。
【防災・減災・動物関係の行政・専門職の方々は、ぜひ、『人とペットの災害対策ガイドライン<外部リンク>』をご確認ください!】
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災害に向けたペット飼い主の「自助」の備えについては、ペット防災関連の本などでも紹介されていますが、基本的な考え方は、環境省の『人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>』によくまとめられています。
など、日ごろからペットを適切に飼育する「適正飼養」こそが、災害に備える飼い主の「自助」として最も大切になります。
【ペットを飼っている方は、ぜひ、『災害、あなたとペットは大丈夫?人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編><外部リンク>』をご確認ください!】
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「ペットとどこへ逃げるのか(ペットがいるから逃げられない)」問題の解決には、(1)各避難所の事情に合った多様な<人とペットの『同伴避難』>の備えと、(2)避難所以外への<人とペットの『分散避難』>とそのサポート、の2つが必要になります。
ペット対応を含めた「誰もが助かる避難所」の環境整備には、環境省の『災害への備えチェックリスト』が参考になります。
一方、飼い主とペットが助かるには、避難所への避難にこだわらず、在宅避難・車中泊・親族宅への避難・ペットを他所に預ける等、ご事情に応じて柔軟に避難先を選ぶことも必要になります。
最も大切なのは、「人間優先か?動物優先か?」と対立するのではなく、ペットも含めた地域住民全体にとって「次善の策(セカンドベスト)」を考えることです。
【防災・減災・動物関係の行政・専門職の方々、特に避難所運営に関わる方々は、ぜひ、『人とペットの災害対策ガイドライン:災害への備えチェックリスト<外部リンク>』をご確認ください!】
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地域での「共助」の備えのために、平常時から住民・専門職・行政等が連携し、「人とペットの地域防災」を進めることが大切です。「ペットとの同行避難訓練」「ペット版避難所運営ゲーム」など、これまでの地域防災活動に「ペット」を追加する試みが、宮崎でも進められています。また、おひとりおひとりにとっての適切な分散避難先を探すためにも、丁寧なコミュニケーションや連携が必要になります。日ごろからの地域でのつながりが、災害時に最も強力なサポートとなります。
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本動画では、災害時に人もペットも「みんなが助かる地域社会」をつくるために必要なことを紹介いたしました。「インクルージョン(包摂)」「インフォメーション(情報)」「コミュニケーション(対話)」「コラボレーション(連携)」の4つのキーワードを基に、飼い主による「ペットの適正飼養」、各避難所の事情に合った多様な<人とペットの『同伴避難』>の備え、そして、避難所以外への<人とペットの『分散避難』>とそのサポートを進め、「みんなが助かる地域社会」づくりを目指しましょう。
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