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地域医療問題の背景と条例制定の経緯
安易な夜間や休日の受診自粛啓発などにより、県立延岡病院の救急患者数は、減少しました。
地域医療を守る活動を一過性のものとしないために、地域医療問題の背景や現状、市民団体の取り組みを紹介します。
地域医療を守る条例制定の経緯
全国各地で大きな課題となっている地域医療問題。
国もさまざまな対策をとっていますが、問題解決には至っていません。
延岡市でも依然として深刻な状況が続いており、市内の医療機関は、新しい医師臨床研修制度(右図)の影響などにより、慢性的な医師不足に陥っています。
中でも延岡市医師会病院や県立延岡病院では、専門医が不在のために診療体制に影響を及ぼしています。
医師が退職するなど地域に定着しない要因の一つに、救急医療を担う医師の過酷な勤務環境が指摘されてきました。
医師の疲弊を招く一番の要因は「本来、救急受診の必要のない軽症患者が安易な気持ちで夜間や休日に救急受診をすること」と言われています。
このような事態に、市民意識の中で「地域医療を守るために自ら行動しよう」という機運が芽生えました。
市民団体が立ち上がり、市と協働でさまざまな啓発活動を実施。その結果、県立延岡病院では、夜間や休日に救急受診する患者が40%近く減少しました。
こうした機運を高め、市民一人ひとりが健康保持に対する意識を持つことが、結果的に地域医療を守ることにつながると認識をしてもらうために条例を制定しました。
この条例が、平成21年9月29日に制定された「延岡市の地域医療を守る条例」です。条例は、「地域医療を守る」こと、「健康長寿を推進する」ことを2本の柱としています。