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令和5年度 延岡市空き家活用モデル事業業務委託の経過報告(3)~物件の完成報告~
このホームページにおいては、令和5年9月12日に行われたプロポーザルにより選定された「空き家の活用モデル案」のモデル化工事が完了いたしましたので、報告します。
プロポーザルの募集要領について
経過報告(1)受託者の紹介について
経過報告(2)イベント(物件完成見学会)の実施状況について
医療や福祉、地域活動のためのコワーキングスペースが完成しました。
物件のオーナーは、物件の東側に隣接する建物「縁・在宅クリニック」の院長である岩谷健志先生です。岩谷先生が当該物件を作ろうと思われたきっかけを以下のように語られていました。「空き家発生の背景には、所有者の健康問題が関わっているケースが多く、空き家問題と健康問題には通じるものがある。多職種が交わるこの場所から健康問題、さらに空き家を含む社会問題にアプローチしていきたい。」
今回できたコワーキングスペース「むすび」は、そのような先生の想いから、「所有者の健康を維持するためのイベントや、患者さんが亡くなった後のことについて考える『人生会議』等のセミナー会場としても利用できる場、そして空き家の利活用につなげる場」として完成しました。
1.完成写真
2.図面
(1階改修後図面)
(2階改修後図面)
3.受託者等からのコメント
(縁・在宅クリニック院長 岩谷 健志 氏)
対象空家は築年数が経過し、また、細長い土地形状から長らく活用できないままとなっていました。建物の良さや歴史を最大限に活かしながら、市民の暮らしと医療をつなげる拠点として復活させました。延岡市で増加している空き家の有効活用の一助となることを願いながら取り組みました。
(設計者:山根製作所 代表・建築家 山根 俊輔 氏)
「もう少し広い場所が・・・」
縁・在宅クリニックのお隣の空き家のリノベーションです。
在宅クリニックを設計させていただいたのが2年前。その後、スタッフも大幅に増え、早くも手狭になっていました。そんな中で、狭い空間の中で工夫しながら勉強会やセミナーをされており、もう少し広くてオープンな場所があれば、みんな使いやすいのではないだろうかと考えた先生から「隣が空き家になってしまっているので、リノベーションして人が集える場所にしたい」と相談を頂いたところからプロジェクトが始まりました。
「課題が山積。」
その空家は、ピンクの外壁が愛らしい小さな2階建ての住宅でした。
間口は3.6mほど。奥行きが15m。とても細長い形の建物で、床は何故だか平ではなく、場所ごとに高さが変わっており、人が集う部屋を作ることが難しい建物でした。さらに、2つめの建物のリノベーションということもあり、できるだけお金をかけずに人が集える空間をつくりたい。リノベーションをするうえで、難しい課題がいくつもありました。
「凸凹したトンネル。」
そこで到達したのが、「既存を活かした凸凹トンネル」という考え方です。
細かいスペースに区切るのではなく、全体を一つの大きな空間として間口の狭い建物でも開放的に感じ、人が集いやすい雰囲気をつくりました。2階部分の吹き抜けがあったり、筋交いがあったり、天井や床の高さが変わったりと元の建物が持っていた要素をそのまま見せることで、ただ単純な大きい空間ではなく凸凹しながら、いろいろな居場所が見つけられるようなトンネル空間になっています。
同時に、既存の床や天井をあえて新しくしないことで、大幅なコストの削減につながりました。
「良さを見つけて表現する。」
リノベーションというと、頭に思い浮かぶのは、古臭い雰囲気を新しい素材で白く明るい空間に「生まれ変わらせる」というイメージが強いかと思います。
「むすび」では、そのようなリノベーションの手法とは異なり、元々の建物や空間が持っている「良さを見つけ出しそれを表現する」という考え方のリノベーションです。これから更に、このコワーキングスペースに色々な人の手が入り、生き生きとした空間に育っていくのが楽しみです。
4.物件のビフォーアフター
別紙に物件のビフォーアフターをまとめています。
ビフォーアフター [PDFファイル/722KB]をご覧ください!