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第23回若山牧水青春短歌大賞佳作入選作品(大学生等及び一般の部)

印刷ページ表示 更新日:2023年4月18日更新
部門 入賞作品 氏名 都道府県 市区町村 学校名 学年
1 ここで待つように言われて動けないポストみたいに空っぽな我 住吉 和歌子 北海道 札幌市    
2 初恋という不燃物がまだ残り郭公の声暮色に染まる 伊藤 ひでとし 青森県 黒石市    
3 君になら何でも言える我はもう皮を剥かれたグレープフルーツ 猫田 馨 青森県 東津軽郡
蓬田村
   
4 光合成してゐるやうな母なりきベットに根はり臥してゐるなり 小原 哲哉 岩手県 盛岡市    
5 あなたとの実らぬ恋が終わっても8がつく日はポイント2倍 木村 台 岩手県 北上市    
6 産声は突き抜けていく待機する父の耳などお構いなしに 太田 君江 宮城県 亘理郡
山元町
   
7 月曜は一番かわいいハンカチを祈りのように鞄に入れる 加藤 菜々 秋田県 潟上市    
8 革靴も安全靴もスニーカーも自由に行き交ふ図書館なりし 伊東 伸也 福島県 須賀川市    
9 クレソンの根っこに潜む川海老を掬いし旧友(トモ)よ清き故郷よ 蓮見 和子 茨城県 古河市    
10 どうですかもっと笑っていたいなら僕と結婚してみませんか 久保田 洋二 茨城県 守谷市    
11 眼鏡をはずした母が好きだった隔てるものがなくなったようで 相内 あみ 栃木県 小山市    
12 言い訳に入道雲を使いつつ君をお茶へと何十年も 木村 浩 埼玉県 春日部市    
13 過去形の傷と向き合う星の夜にゆっくりゆっくり心を編めば 坂井 傑 埼玉県 所沢市    
14 活気ある家に巣作りするツバメ家の勢い鋭く見分け 新井 巳喜雄 埼玉県 児玉郡
美里町
   
15 孫娘露文科卒で土木女子安全靴とハイヒール好き 渡会 克男 千葉県 柏市    
16 ミーアキャットみたいな背中が良いね黒板の文字は見えないけど 中村 友泉 千葉県 船橋市    
17 温室で寝てるかどうかもわからないワニの瞳が君に似ている 山田 桃 東京都 練馬区    
18 漢検の案内板を持つ我にポケセンの場所訊く人も居り 五十嵐 紀子 東京都 町田市 早稲田大学 3
19 受験以来解かなくなった数式のようにいつかは君も忘れる 澪那 本気子 東京都 八王子市    
20 緑からひらりひらりと赤はでてグラジオラスの前世は金魚 岡本 千晶 東京都 文京区    
21 美しい地球の頬に触れたなら空の青さに火傷する指 山田 知明 神奈川県 横浜市    
22 シェルターでアヴェ・マリア弾く少女あり戦争という異国の時間 合志 星羅 神奈川県 横浜市 横浜市立大学 3
23 雑貨屋の閉店の列にじっと待つ大人も子供もみな顔なじみ 柳川 維 神奈川県 秦野市    
24 防衛が仕事となりうる世の中で君と見つけるポラリス冬空 瀬崎 薄明 神奈川県 川崎市 法政大学 3
25 海沿いのケアハウス出て散歩する老母の二歩に合わせる一歩 阿部 文彦 神奈川県 横須賀市    
26 ひき伸ばす写真の父と目を合わせ記憶の中にとじこめる秋 平柳 登美子 山梨県 山梨市    
27 秋の陽は老いも黄金に染めてゆき妻のうぶ毛も聖母のやうに 穂苅 真泉 長野県 安曇野市    
28 どのように泳げばいいか分からない君のやわらかさを知ってから 尾内 甲太郎 静岡県 浜松市    
29 サッカーの男子代表監督に澤穂希がなる日本が見たい 志村 紀昭 愛知県 名古屋市    
30 妻を詠みし川柳受賞複雑な表情(カ オ)する妻をただ抱きしめん 石田 賢吾 愛知県 蒲郡市    
31 恋すれば何でも歌にできそうな歌にできそうな恋をしている 赤谷 敏夫 愛知県 名古屋市    
32 心情を答えなさいという問いの傍線伸ばすような恋です 水野 大雅 愛知県 名古屋市    
33 人間にだれも一度はモテ期ある?真剣な目で問い来る息子 千代 哲雄 滋賀県 高島市    
34 「うち活水じゃき」は別れの言葉だったんだ「俺、東京じゃき」はなんと間抜けな… 松田 靖男 滋賀県 大津市    
35 マルボロの香りに咽せて目を閉じる世界の背骨抜くような春 山根 直子 京都府 京都市    
36 分からないことを分かった気になって冥王星のようなさびしさ 椎名 よだか 京都府 京都市    
37 夕暮れの玄関ベルに返事してマスクする手は小麦粉まみれ 内海 登志子 大阪府 八尾市    
38 仕送りの口座を閉じる春の日に独身寮へ荷物を運ぶ 太田 省三 大阪府 池田市    
39 姉ちゃんとばかり呼ばれる人の名を妹だけがいつまでも呼ぶ 中山 祐美 兵庫県 神戸市    
40 デジタルの時間はすぐに忘れ去る角度が記憶アナログ時計 中村 宗一 奈良県 御所市    
41 外を見る前にネットで雨を知る生き物としてだめになってる 森本 晋 奈良県 奈良市    
42 毛糸編むいのちを紡ぎこむように待合室の灯りの下で 永禮 直義 岡山県 津山市    
43 砂浜は白くおおきく輝いてそうして結婚するのか、君は 末永 光 岡山県 岡山市    
44 入り口で傘へと被せる透明な袋みたいにわたしを遮る 堀 将大 岡山県 倉敷市    
45 父母はブラスバンドがなりそめと知りて入部の中一の孫 浜田 光夫 広島県 福山市    
46 うたたねの背中に触れて見たかった高校3年図書館の午後 松友 しのぶ 山口県 下松市    
47 孫が住む町の日の出の時刻とか天気予報を聴きつつ眠る 坂東 典子 徳島県 阿南市    
48 面接で好きな言葉はキュンですと答えてからはムードが変わる 小林 美穂 徳島県 徳島市    
49 風もなく音もない日に山動くような気がする緑の効果 宇都宮 千瑞子 愛媛県 松山市    
50 眠れない夜の底にはいつからか声を失くした小さき鳥棲む 大隈 文子 福岡県 北九州市    
51 お~い雲寝っ転がって呼んでいる空が生まれる物干し台で 古賀 由美子 佐賀県 唐津市    
52 生まれたての月をたぽっと割り落とし醤油まわして飯を喰ふなり 大山 智子 長崎県 長崎市    
53 何回も貼ってはがしてくたくたになったふせん紙これは過労死 石井 かおり 大分県 日田市    
54 日向市の戦争遺品展示室確保できたり意味ある年に 黒木 直行 宮崎県 日向市    
55 いつまでも子供あつかいする母に声大にしてわが歳告げる 近藤 國法 宮崎県 日南市    
56 もう二度と鳴らないはずの着信を鳴らしてみたりしてる秋です 陰山 芳子 宮崎県 西臼杵郡
高千穂町
   
57 草取りを笊いっぱいと決めている残されし畑に小花を咲かす 千坂 征子 宮崎県 延岡市    
58 父母に花束抱え菩提寺へ褒めてほしくて退職の日は 中村 加津代 宮崎県 延岡市    
59 褒めたとて素直に喜び見せぬまで育ってきたと子のまつげ見る 古川 久師 宮崎県 延岡市    
60 きみの手の握り方を知らぬまま手の甲ばかりが日焼けする夏 矢野 優理恵 宮崎県 延岡市    
61 どこにでも行ける寂しさ屋久杉は二千年間その島に立つ 佐藤 和代 宮崎県 延岡市    

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