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第1回若山牧水青春短歌大賞佳作入選作品(一般の部)
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更新日:2021年12月16日更新
No. | 入選作品 | 氏名 | 都道府県 | 市区町村 |
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1 | 活蟹の荷揚げを終へてぞろぞろと街へ繰り出すロシア船員 | 藤林 正則 | 北海道 | 稚内市 |
2 | 暮坂峠林をくだる牧水のマントが消ゆる霧ふる中に | 鈴木 照子 | 栃木県 | 宇都宮市 |
3 | 子の許へ引き取られゆく老人が手押し車と共に運ばれる | 池田 佳子 | 埼玉県 | 新座市 |
4 | 田仕舞の稲し火燃やす父の背を闇が小さく浮き彫にする | 井上 とも子 | 埼玉県 | 深谷市 |
5 | 川底にすばらしき国ある如く紅葉せし山くっきり沈む | 秦 美枝子 | 神奈川県 | 海老名市 |
6 | 岡持ちに螢を添えて君の家へ冷し中華を届ける夕べ | 天辰 芳徳 | 石川県 | 金沢市 |
7 | おほかたはペルシャの遺伝子もつ猫も日本の秋の光にあそぶ | 福田 源子 | 福井県 | 鯖江市 |
8 | 百枚の棚田は海の方に向き中ほどの田に稲を刈る人 | 豊田 三佐子 | 大阪府 | 箕面市 |
9 | みづうみを地図にてさがすゆふぐれは指のさきから冷えてくるなり | 長江 幸彦 | 奈良県 | 奈良市 |
10 | パンジーの思慮ぶかき眼に見つめられ白状したき一件のある | 相原 由実 | 広島県 | 広島市 |
11 | サーフィンの賑わい消えし寒村に半ば埋もれし船の骨見ゆ | 長井 一晃 | 島根県 | ゆのつ町 |
12 | 氷原を滑れる人の靴の歯のときおり光る地平暮るるまで | 小林 道夫 | 岡山県 | 岡山市 |
13 | 一輪のコスモスよろし群落もよろしといいて夫と試歩する | 松井 孝子 | 山口県 | 岩国市 |
14 | 父母は何処にいます小夜更けて冬しんしんと薬罐鳴りいづ | 鶴原 鳴十 | 山口県 | 大畠町 |
15 | 四十年はなれて暮らす弟の盆灯籠が生家に灯る | 高橋 胤明 | 高知県 | 鏡村 |
16 | ヘルメットかぶりしままに眠りいる工事現場の真昼静まる | 小野 ひさえ | 大分県 | 大分市 |
17 | 長生きは困ったものねと言ふ姑のからだ拭きゐる秋の日入れて | 小池 洋子 | 宮崎県 | 宮崎市 |
18 | とまどいしことも幾つかありて終る度数一〇五のテレフォンカード | 本田 皓子 | 宮崎県 | 宮崎市 |
19 | 「鎌を研げ」と秋の夕焼け教えたる父恋しかり落日に対く | 遠山 凉子 | 宮崎県 | 宮崎市 |
20 | 若きらに蹤き来し夜のスーパーに飽かなく人を眺めてをりぬ | 岡田 美奈 | 宮崎県 | 日向市 |
21 | 雷鳴の轟く中に寄り合えば獣のごとき肌の温もり | 九鬼 勉 | 宮崎県 | 延岡市 |
22 | 台風の余波か家中風通りテレビの少年ホームラン打つ | 小野 豊子 | 宮崎県 | 延岡市 |
23 | 行き先は「レーヨン」とあるバス多し工場の街に移り来て住む | 鈴木 貴美子 | 宮崎県 | 延岡市 |
24 | 焦げ鍋を磨きて素知らぬ振りをして愈々深まる老いを思へり | 甲斐 千鶴子 | 宮崎県 | 延岡市 |
25 | 五米の梯子に立ちて杉枝を打てば木霊は答ふるわれに | 阿部 弘 | 宮崎県 | 延岡市 |
26 | 貝殻虫の白きを枝よりとりしときふんわり柔く赤き血にじむ | 染矢 俊子 | 宮崎県 | 高岡町 |
27 | フランスの葡萄を植ゑし都農台地朝の畑に青き実を摘む | 戸敷 マチ子 | 宮崎県 | 佐土原町 |
28 | 教室の窓閉められて〈落とし物箱〉の消しゴム雲になれない | 横山 直美 | 宮崎県 | 国富町 |
29 | 父を焼く点火ボタンを押した掌のその親指を嚙む癖つきぬ | 永井 幸男 | 宮崎県 | 都農町 |
30 | 「ああ俺」で息子の電話の始まりて用件ひとつ言いて終りぬ | 末永 タカ子 | 宮崎県 | 南郷村 |