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第12回若山牧水青春短歌大賞佳作入選作品(大学生等・一般の部)

印刷ページ表示 更新日:2021年12月15日更新
No. 入選作品 氏名 都道府県 市区町村
1 本心をどう伝えよう意味もなく午後の浴室タイルを磨く 仲田 良 岩手県 下閉伊郡
2 再婚の噂さ確かめ門に立つ窓の灯りに三歩退く 石川 幸子 山形県 酒田市
3 ひとつまたひとつと本を読んでゆくチーズを齧るねずみみたいに 渋谷 史恵 宮城県 多賀城市
4 「また来られえ」と伯母がホームでささやいた富山訛りが耳に残れる 江尻 和久 富山県 富山市
5 震災を忘れたような青き海静かなることアルミのごとし 森 誠 茨城県 古河市
6 切れ長の瞳に気づく粉雪をじっと見ている君を見つめて 大野 美波 埼玉県 入間市
7 焦点を絞るレンズの目の様に女医淡々と告知に入る 松川 靖 埼玉県 鴻巣市
8 図書館に本を返しに行く途中途中途中の人生である 字引 章 東京都 八王子市
9 こんなにも静かに消えてゆく人か背を折り靴の紐むすびいる 島田 瞳 東京都 板橋区
10 多摩川に来れば浮かび来牧水の青春の日のたんぽぽの歌 菖蒲 敏子 東京都 杉並区
11 春の宵夫の背広のポケットに入れられて来しポリという仔犬 松本 和子 東京都 世田谷区
12 星満つる空には音があるといふりり、りりり、と今ひかりあふ 村上 京子 東京都 世田谷区
13 酒に酔い一方的に牧水を称える友は延岡育ち 柳川 維 神奈川県 秦野市
14 母にまだ温み残れり死を告げて光の方へ行くように言う 横井 和幸 愛知県 愛西市
15 言ひすぎて自ら傷つき夕焼けに飛び込むようにペダル踏みゆく 横井 光太郎 愛知県 愛西市
16 乗客の誰も笑はぬ地下鉄の広告の顔ばかり微笑む 横井 正男 愛知県 愛西市
17 マウンドをトンボで均す少年はクジラの尻尾を引き摺るように 麻倉 遥 京都府 京都市
18 心電図みたいなMを書いてゐる眠気の襲ふしらかみの上 角山 諭 京都府 京都市
19 この前と粗筋違うホステスの身の上話飽かず聴きをり 山田 順三 京都府 京都市
20 宿題は出来たのだろう八月晦日絵筆パレット干されておれば 中寺 すみ子 滋賀県 東近江
21 君を抱くその間に琵琶湖は海となり月明浮かべるただ凛として 澁谷 義人 兵庫県 豊岡市
22 三日月をまんまるになる月と言い君は笑って抱きついてきた 西村 由佳里 広島県 広島市
23 運動会のマラソンにはげみ汗ながすこの子ら幾人町にのこるや 野中 泰佑 高知県 須崎市
24 炭酸のぬけたサイダーであるよりも砂糖をぬいた炭酸水であれ 樋口 淳一郎 福岡県 福岡市
25 「久仁ちゃん」とちゃんづけにして亡き夫に今日の終りを告げる88才 野尻 敏子 大分県 大分市
26 鬱の字を書いたらやけに膨んでアンバランスな僕の詠草 児玉 久 鹿児島県 霧島市
27 長き旅終へ帰り来しわが庭に南瓜の蔓は思ふ侭這ふ 東 礼子 宮崎県 児湯郡
28 二歳なる曽孫の創作「むかしむかし豚がいました」あとが聞きたし 有賀 公代 宮崎県 北諸県郡
29 父の胸は少したばこくさくってとろとろ眠り聞いた「アリババ」 今村 公子 宮崎県 延岡市
30 石灰まみれの南国宮崎鶏舎豚舎牛舎はまるで雪国 古川 久師 宮崎県 延岡市