本文
第3回「のべおか里山塾」が開催されました!!
鳥獣被害の解決や狩猟者の育成、自然や動物と人間の営みの調和を図るための集落づくりについて学ぶ「第3回のべおか里山塾」を令和7年1月18日(土曜日)延岡市北川町瀬口区瀬口集会所や周辺農地でサル被害対策について研修を行いました。また、宮崎大学農学部の学生が延岡市北川町における鳥獣対策と地域振興について、これまでの取組の意見発表も行われました。
今回の「第3回のべおか里山塾」には、大分県や延岡市内の方51名が受講しました。
1.サル被害対策
サル被害対策について、専門家による講義、実技が行われました。
(1)講義
講師
北海道大学 名誉教授 池田 透 氏
【被害原因】
- サルは臆病で警戒心が強く危険を冒してまで集落に出没しないが、放任果樹など「集落に食べ物があること」や「集落で農作物を食べても大丈夫」ということを学習すると農作物の食害被害につながる。(人慣れが進むにつれてサルの行動が大胆になる。)
- サルにとって集落に出没する動機は、「集落に行けば農地に餌(農作物や果樹)がある」というシンプルな理由。
【被害対策】
- 被害対策としては、「収穫農作物の残渣を農地内に放置しない」、「放棄農地を出来るだけなくす」、「放任果樹や収穫予定の無い農作物を無くす」など、サルの餌場となる環境を無くすこと。
- 農地に隣接している原野などを出来るだけ草刈し、農地周辺にサルの嫌う開けた空間を確保する。(イノシシやシカ等も同様)
- 侵入防護柵の整備と併せて農地周辺の立木を出来るだけ伐採し、サルが農地に近づきにくい環境を整備する。
- サルを見たら追い払う取り組みも効果が高く、追い払いは集落全体で取り組むことが重要である。集落内で追い払いのルールを作り、自分の農地を守るのではなく、集落を守るという意識を持つことが大事。
(2)実技
講師
東北芸術工科大学名誉教授 狩猟文化研究所 代表 田口 洋美 氏
【現状】
- 近代以降の産業構造の変動によって、人間の生活空間と野生動物の生息空間の境界が崩れ、さらに昔の様に常日頃から人間が山に入る生活がほとんどなく、野生動物が集落や農地に出没しやすい生活環境となっている。
- 野生動物にとって人間が手を加えてきた半自然半人為の空間「里山」の植生は食資源が豊かであり、近接して広がる耕作地の栽培種も豊富にあって彼らを引き付けている。
- 住宅地や耕作地と周辺の森林の間に緩衝帯がなく、極端に人間の集合スペースと耕地に直接森林が接している。このことが、サルやその他の野生動物が農作物に手を出しやすく、また、人間のスペースに入り込みやすい環境を提供している。
【対策】
- 集落の被害現状を正しく理解し、被害がある場所の周辺に緩衝帯(藪等を切りあけて動物が農地などに出ずらい環境)を整備し、サルが出にくい状態にすること。
- サルを見かけたら見えなくなる所まで徹底的に追い払いを行い、山へ追い返すこと。
- 一部の方だけが対策をするのではなく、これらの対策を集落全体で継続して取り組むこと。
講師
農研機構 竹内 正彦 氏
【原因と対策】
鳥獣被害発生の原因は、農地内での不要作物の放置や柿、栗などの放任果樹(収穫しない果樹)がイノシシ等の餌(えさ)場となっている。
・鳥獣対策は次の順番で行うこと。
- 鳥獣の行動を正しく理解する。
- やぶなどの鳥獣のすみかや農地での餌(えさ)場を無くす。
- 集落で協力し鳥獣を追い払う。
- 侵入防止柵を整備し農作物を適正に管理する。
- 鳥獣の捕獲を行う。
・鳥獣対策は人任せにせず、自らできる方法で自ら対策を行い、集落みんなが協力し被害対策に取り組むことが重要。
2.宮崎大学生が考える鳥獣対策と地域振興(中間発表及び意見交換)
宮崎大学農学部の学生は「第2回のべおか里山塾(令和6年11月22日~11月24日開催)」の中で鳥獣対策基礎講座や北川湿原の現状等を受講し、「鳥獣対策と地域振興」について、グループワークを行いました。今回の「第3回のべおか里山塾」では、5つの班がそれぞれのグループワークでの取り組みについて中間報告を行い、併せて地域の方々との意見交換を行いました。
中間発表の一例紹介
【1班】議題:罠のかけ方講座
解決すべき課題:鳥獣被害対策の認知度が低い
アイデア:罠のかけ方講座を開催
目的:どこに罠を設置すればよいか、効果的な使い方を知ってもらうことで、農作物被害の低減につながる など
方法:公民館などの市の所有施設で、罠の販売、製造会社や鳥獣対策についての研究者による座学を実施 など
期待される効果:罠の誤った使い方を修正でき、罠自体の損傷を防いだり、再購入などにかかるコストの低減につながる、個人での対策が可能となることで、地域全体の農作物被害が減少する
【2班】議題:延岡市でジビエ料理コンテストを開催する
解決すべき課題:ジビエ関連で生計を立てたくても、レシピが少ない上に安定供給が難しい
アイデア:ジビエの消費拡大・需要増加を目指す
目的:ジビエ料理のレシピを地域住民に広く提供することで、ジビエの消費拡大につなげる
方法:ジビエ料理コンテストを延岡市で開催、受賞レシピは、延岡市内の飲食店で地域住民に提供し、ジビエに対する興味を多くの人に持ってもらう など
期待される効果:狩猟者の増加に貢献し、鳥獣利用の流れをより円滑化する、ジビエの消費拡大・需要増加につなげることで、供給や流通を活性化する
宮崎大学生の発表
意見交換
宮崎大学農学部学生は、様々な視点から鳥獣対策と地域振興について議論を行い、今回その取り組みを発表しましたが、発表を聞いた地元北川町の方々は、「色んな意見を聴いて勉強になった」や「まだまだ地域を元気にする取り組みが必要だ」などの意見も出され、大変有意義な中間発表会となりました。
この取り組みは、第4回のべおか里山塾において、最終の発表を予定しています。
3.第4回のべおか里山塾のご案内
第4回のべおか里山塾を下記のとおり開催します。
日時等
1日目:令和7年2月22日(土曜)10時から17時30分まで
会場:北川町川坂母子健康センター 他
2日目:令和7年2月23日(日曜)9時から16時30分まで
会場:北川町川坂母子健康センター、北浦町古江区農地 他
【募集定員】
30名(全国から受講生を募集します。)
【参加費】
無料(自宅からの交通費、昼食費、宿泊費は参加者負担)
【参加申込書】
参加申込書は延岡観光協会に提出ください。
第4回のべおか里山塾参加申込書 [Wordファイル/16KB]
【参加申込先】
延岡観光協会 電話:0982-29-2155
のべおか里山塾事務局(延岡市農林水産部林務課)電話:0982-22-7019 Fax:0982-21-6204