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自分たちがやれば島の未来は明るい

印刷ページ表示 更新日:2021年8月1日更新

問合せ:水産課Tel.22-7020

島野浦島

日向灘に位置する周囲15・5キロメートル、人口830人ほどの本市唯一の有人離島。

昔からまき網漁が盛んな地域で、「いわしの舞う島」とも呼ばれていました。

また、島ならではの豊富な観光資源も有しており、日豊海岸国定公園内にある大小の岩礁や海食トンネルなどが織りなす景観が魅力。

海中には世界最大の群落規模のオオスリバチサンゴをはじめ数百種類のテーブルサンゴが群生し、人気のダイビングスポットとなっています。

島野浦島

漁業者の減少や高齢化が進む島野浦島。このまま放置すれば、島の基幹産業である漁業は衰退し、島全体の機能も失われていく懸念があります。そのような現状を解決するため、島野浦島に住む若手漁業者たちはさまざまな取り組みを行い、島ににぎわいを取り戻そうとしています。

今回は、その若手漁業者たちの1人である結城水産の結城嘉朗さんを特集します。

島浦町 結城水産 養殖業結城 嘉朗さん

スーパーでの経験

実家が養殖業をしていたので、いずれは継ぐつもりでしたが、高校卒業後は島を出て、一度は都会に行きたい気持ちが強かったです。

ただ、東京に行くのは親に反対されたので、福岡の大学に進学することに決めました。

大学では経済学を専攻し、卒業後は、福岡を中心に展開しているスーパーの水産部門に就職しました。他の企業と比べ、自分のアイデアを仕事に反映できるスーパーだったので、とても勉強になりました。魚のさばきや盛り方、商品の値段設定などを主にしていましたが、当時の経験が今の仕事にも活かされています。

生産者を知ってもらう

もともと自分のやりたいことをしたい気持ちがあったことや、実家が養殖の作業用船を新しくするタイミングが重なったことで、5年勤めたスーパーを辞め、実家を継ぐことにしました。

幼少期から親の姿を見ていましたので、養殖業が厳しい仕事であることは分かっていました。大震災や新型コロナウイルス感染症の影響などで、消費が落ち込み資金繰りが苦しくなったり、台風で網が破れたりと、自分でコントロールできないことも起きますが、覚悟した上で養殖業をしているので、特に嫌に思うことはありません。

ただ、実家を継いで課題に思う点はいくつかありますね。その一つとして、自分が育てた魚が消費者の元に届くまで、配送業者や卸売市場を経由するため、生産者は消費者の顔が分からないことです。

自分の育てた魚が全国チェーンの居酒屋や回転寿司店などにも卸されているとは聞きますが、そのような情報はほとんど卸商からです。そこで、農家・漁師さんから直接新鮮な食材を買うことができるサイトに出店をしました。生産者が消費者に直接声を届けることができるので、やりがいを感じますよね。また、生産者の顔やこだわりを知ってもらうことで、消費者は今までと違った食材の楽しみ方ができるのではないでしょうか。

生産者を知ってもらうの画像

新しい漁業

新しい漁業の画像

島全体の人口が減少している中で、後継者問題は深刻です。体力的に大変な漁業ならなおさらですね。とはいえ、誰でも来て欲しい訳ではありません。漁業の大変さは身をもって知っていますから。

​漁業の後継者といったら、体力があって職人気質の人がなるイメージがあり、なかなか就職しようとする人はいないと思います。

そのような中で、後継者問題を解決する一つの方法として、分業もあるのではないかと考えています。

例えば、魚を育てる人、魚をさばく人、販売をする人で仕事を分け、それぞれに得意な人を採用すれば、良いんじゃないかと。そうすれば、一人で抱える負担も減り、最終的に自分が目指している「六次産業化」を構築できると思います。

六次産業化とは、農業や水産業などの第一次産業が食品加工・流通販売にも業務展開している経営形態のことで、このような形態にするには、自分ひとりではできません。それぞれの分野で得意な人がいることで成り立ちますし、多くの人を雇用できますよね。

マイナスにはならない

マイナスにはならないの画像

後継者問題もありますが、同時に、島の若手が集まったグループで島野浦島のPR活動をしています。

内容は、県内でもまだまだ認知度の低い島浦産の魚や島浦町の魅力発信です。

例えば、魚の移動販売で高千穂町に行ったり、同町の居酒屋で島獲れの水産物や加工品を料理したりしました。多くのお客さんに来ていただき、喜んでもらえたのではないかと思います。

その他にも、宮崎市のレストランで、島の新鮮な魚介を活かしたフルコースを食べながら、島の漁師たちと語れるイベント「島浦バル」も開催しました。今まで2回開催し、どちらとも参加予約は1時間程でいっぱいになりました。

生産者・消費者・料理人が集まり、島の現状や漁師の想い、魚介の魅力などを伝えることができたのは、貴重な体験でした。

島浦バル

また、県外で行われるイベントにも積極的に参加するようにしています。日本の離島について話し合う「離島会議」が東京で開催された時には、登壇者として参加させていただきました。

一方で、島の魅力を肌で感じてもらうイベントを開催したこともありましたね。

島には、地元の人しか知らないプライベートビーチがありますが、歩いて行こうとすると、1時間程かかってしまいます。そこで、クラウドファンディングで費用を集め、簡易船着き場を作り、上陸できるようにしました。

そのビーチで開催した、シュノーケリング体験や魚のさばき方体験などを小さい子どもから大人まで堪能していただき、格別だったと思います。

これらの島のPR活動はとても重要だと思っています。消費者はよく知らない商品はあまり買おうとは思いませんよね。PR活動して結果がゼロになることはあっても、マイナスはないと思いながら活動しています。

また、当然ではありますが、本業の養殖魚の販売を頑張ることでも、消費者に「島野浦島」を認知してもらえるので、魚の品質向上や、先ほど話した六次産業化には全力で取り組んでいきたいと思います。

私以外にも島のために頑張っている有志もいるので、これからの「島野浦島」を楽しみにしていてください。

島のプライベートビーチ