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所得割の特例(分離課税分)
土地や建物、株式を売却した場合や、退職金の支払を受ける場合の所得に対する市県民税は、他の所得とは分離して計算されます。
土地・建物等の譲渡
個人が土地や建物を売却等によって譲渡した場合の所得に対する市県民税は、他の所得と分離して計算されます。
なお、譲渡した土地建物等の所有期間が、譲渡した年の1月1日において、5年以下の場合は短期譲渡所得金額、所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得金額として計算されます。
所得金額の算出方法
譲渡収入金額-譲渡資産の取得価格などの経費-特別控除額
※譲渡所得の金額から、下記の条件により特別控除が定められています。
特別控除が受けられる譲渡の例 | 特別控除額 |
---|---|
土地収用法などによって土地や建物が買い取られた場合 | 5,000万円 |
特定土地区画整理事業等のために土地などが買い取られた場合 | 2,000万円 |
特定住宅地造成事業等のために土地などが買い取られた場合 | 1,500万円 |
農業振興地域内にある農地などを農業委員会のあっ旋などにより譲渡した場合 | 800万円 |
自分が居住している土地や建物を譲渡した場合 | 3,000万円 |
特定の土地等を譲渡した場合 | 1,000万円 |
低未利用土地土地等を譲渡した場合 | 100万円 |
上記の特別控除が重複する場合は、控除の限度額は5,000万円になります。
税率
区分 | 市民税 | 県民税 | ||
---|---|---|---|---|
短期譲渡所得金額 | 国又は地方公共団体等に対する譲渡 | 3.0% | 2.0% | |
上記のもの以外の譲渡 | 5.4% | 3.6% | ||
長期譲渡所得金額 | 一般の譲渡 | 一律 | 3.0% | 2.0% |
優良住宅地の譲渡 | 2千万円以下 | 2.4% | 1.6% | |
2千万円超 | 3.0% | 2.0% | ||
居住用財産の譲渡 | 6千万円以下 | 2.4% | 1.6% | |
6千万円超 | 3.0% | 2.0% |
株式等の譲渡
個人が株式等の譲渡をした場合には、その株式等の譲渡による所得に対する市県民税は、他の所得と分離して計算されます。
所得金額の算出方法
株式等の譲渡にかかる総収入額-株式等の取得価格などの経費
税率
区分 | 市民税 | 県民税 | |
---|---|---|---|
株式等に係る譲渡所得等の金額 | 上場株式等 | 3.0% | 2.0% |
一般株式等 | 3.0% | 2.0% |
先物取引にかかる雑所得等の課税
個人が先物取引等にかかる決済をした場合の事業所得または雑所得は、他の所得と分離して課税されます。
所得金額の算出方法
先物取引等による総収入金額-委託手数料などの経費
税率
市民税 | 県民税 |
---|---|
3.0% | 2.0% |
退職所得
退職所得にかかる市県民税は、所得税と同様に退職金などの支払いを受けるときに市県民税所得割がかかります。退職所得にかかる所得割額は、退職金支払額から天引きされ、退職者のその年の1月1日現在居住する市町村に納めることになっています。
所得金額の算出方法
(退職金額-退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額の計算は以下のとおりです。
勤続年数 (1年未満の期間は切り上げます) |
退職所得控除額 |
---|---|
20年以下の場合 | 40万円×勤続年数 計算結果が80万円に満たない場合は80万円 |
20年を超える場合 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
※障がい者になったことによって退職した場合には、上記の表で算出した額に100万円を加算した金額が控除されます。
なお、勤続5年以下の役員等の場合は、2分の1課税が適用されません。
令和4年1月1日以降の支給分より、勤続5年以下の役員等以外の従業員についても、退職所得控除額を控除した残額の300万円を超える部分について、2分の1課税が廃止されます。
税率
市民税 | 県民税 |
---|---|
6.0% | 4.0% |
計算例
勤続年数35年5ヶ月→36年(1年未満は切り上げ)
退職金2,500万円
まず退職所得控除額を計算します。
勤続年数が20年を超えていますので、
800万円+70万円×(36年-20年)=1,920万円
所得金額を計算します。
(2,500万円-1,920万円)×0.5=290万円
よって、退職金から差し引かれる市・県民税は、
市民税:290万円×6%(税率)=174,000円
県民税:290万円×4%(税率)=116,000円
となります。