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◇ふるさと納税の申告特例(ワンストップ特例)制度◇
申告特例(ワンストップ特例)制度とは
本来個人住民税に対する寄附金税額控除を受けるためには、前年中に支出した寄附金の受領証明書(領収証)を添付した確定申告書を税務署へ提出する必要があります。
ただし、一定の要件に基づき、寄附先の自治体へ申告特例申請書を提出することにより、所得税の確定申告の手続きが不要になります。これを寄附金税額控除に係る申告特例(ワンストップ特例)制度といいます。
申告特例(ワンストップ特例)制度を適用するには
申告特例(ワンストップ特例)制度を適用するには条件があります。
(1)所得税の確定申告義務がないこと
ワンストップ特例制度を申請できるのは、職場で年末調整が完了している場合や年金収入が400万円以下である場合など、確定申告義務がない方に限ります。
営業所得がある場合や医療費控除を申告する場合など、確定申告が必要な方は寄附金控除も合わせて確定申告書に記載する必要があります。
(2)寄附先の自治体の数が5以下であること
ワンストップ特例制度を申請できるのは、前年中寄附をした自治体の数が5以下である場合に限ります。また寄附先が複数ある場合、そのすべての自治体に対し申告特例申請書を提出する必要があります。
なお、1つの自治体に複数回寄附金を支出した時、寄附先は「1つ」と数えます。
申告特例(ワンストップ特例)制度を適用した場合の控除額
申告特例(ワンストップ特例)制度を適用した場合、本来所得税から控除される予定だった金額を全額個人住民税から控除することになります。具体的な計算方法は以下の設例を参照ください。
延岡太郎さんの場合
- 3か所の自治体に合計5万円寄附
- 前年中の給与収入600万円
- 社会保険料の支払い60万円
- 扶養:
妻(専業主婦)
子(高校2年生)
子(中学1年生)
単位:円
給与収入 | 6,000,000 | |
---|---|---|
給与所得 | 4,360,000 | |
総所得金額 | 4,360,000 | |
社会保険料控除 | 600,000 | |
配偶者控除 | 330,000 | |
扶養控除(16歳未満) | 0 | |
扶養控除 | 330,000 | |
基礎控除 | 430,000 | |
控除合計 | 1,690,000 | |
課税総所得 | 2,670,000 | |
市民税 | 県民税 | |
税率 | 6% | 4% |
所得割 | 160,200 | 106,800 |
調整控除 | 1,500 | 1,000 |
寄附金税額控除 | 28,801 | 19,201 |
所得割(控除後) | 129,800 | 86,500 |
均等割 | 3,500 | 2,000 |
年税額 | 221,800 |
延岡太郎さんの寄附金税額控除の計算
I.控除の基礎となる金額の計算
50,000円-2,000円=48,000円(寄附金額の内2,000円を超えた部分が控除対象)
II.市民税、県民税での寄附金税額における基本控除額の計算
- 市民税分:48,000円×6%(市民税の税率)=2,880円→A1
- 県民税分:48,000円×4%(県民税の税率)=1,920円→A2
III.市民税、県民税での寄附金控除のふるさと寄付金に係る特例控除額の計算
III-i特例控除を計算するために、延岡太郎さんの所得税と市民税・県民税の人的控除額の差を計算する
人的控除額 | 所得税 | 市・県民税 | 差 |
---|---|---|---|
配偶者控除額 | 38万円 | 33万円 | 5万円 |
扶養控除額 | 38万円 | 33万円 | 5万円 |
基礎控除額 | 48万円 | 43万円 | 5万円 |
人的控除額の合計額 | 124万円 | 109万円 | 15万円 |
III-ii特例控除額を計算するために、市県民税の総所得金額―市・県民税の控除合計―所得税と市県民税の人的控除額の差の合計額(III-i)を計算する
4,360,000円-1,690,000円-+150,000=2,520,000円
特例控除額で計算するための所得税率は10.21%となります。
III-iii寄附金税額控除の特例控除額を計算する。
- 市民税分:48,000円×(90%-10.21%)×(5分の3)=22,980円
- 県民税分:48,000円×(90%-10.21%)×(5分の2)=15,320円
III-iv市県民税の特例控除額の限度額を計算する
- 市民税分:(160,200円―1,500円)×20%=31,740円
- 県民税分:(106,800円―1,000円)×20%=21,160円
III-v市県民税の特例控除額を決定する
- 市民税分の特例控除額:22,980円<31,740円で市民税の特例控除額の限度額を超えないため、22,980円となります。→B1
- 県民税分の特例控除額:15,320円<21,160円で県民税の特例控除額の限度額を超えないため、15,320円となります。→B2
IV申告特例(ワンストップ特例)制度を適用した場合の申告特例控除額を計算する
- 市民税分:22,980×10.21%÷(90%-10.21%)=2,940.5円(端数切り上げ 2,941円)→C1
- 県民税分:15,320×10.21%÷(90%-10.21%)=1,960.3円(端数切り上げ 1,961円)→C2
V市県民税における寄付金税額控除を計算する
- 市民税分の控除額はA1+B1+C1=28,801円
- 県民税分の控除額はA2+B2+C2=19,201円
28,801円(市民税)+19,201円(県民税)=48,002円が寄付金税額控除となります。
VIイメージ図
※以下のイメージ図は延岡太郎さんの場合の見本であり、実際の控除額は収入や控除の内容により、個人ごとに異なります。
通常の場合
自己 負担額 2千円 |
【所得税】 所得控除 4,900円 |
【市・県民税】 税額控除 (基本分) 4,800円 |
【市・県民税】 税額控除 (特例分) 38,300円 |
→原則、寄附をした年の所得税と翌年度の市県民税合わせて全額が控除されます。(自己負担分を除く)
申告特例(ワンストップ特例)制度を適用した場合
自己 負担額 2千円 |
【市・県民税】 税額控除 (基本分) 4,800円 |
【市・県民税】 税額控除 (特例分) 38,300円 |
【市・県民税】 税額控除 (申告特例分) 4,900円 |
→原則、寄附をした年の翌年度の市県民税から全額控除されます。(自己負担分を除く)