ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 市長室 > 修正議決された令和5年度一般会計補正予算に対する再議について

本文

修正議決された令和5年度一般会計補正予算に対する再議について

印刷ページ表示 更新日:2023年7月7日更新

​ 本日、延岡市議会6月定例会において、国のデジタル田園都市国家構想交付金の事業として国から採択決定を受けている「『空飛ぶクルマ』も見据えた新たな救急搬送体制づくり事業」(国が事業費の95%を支援)と「平常時・災害時共通 災害に強い地方創生ネットワーク構築事業」(国が事業費のかなりの部分を支援)の予算が認められませんでした。

 しかしながら、深刻な医師不足の中、大学病院から遠く離島・山間地も含め広大な面積を有する本市において、一刻一秒を争う重篤患者の迅速な搬送や早期治療開始の実現、いつやってくるかわからない災害における救助や主要避難所での通信確保・生活必需品確保などのために、これらの事業は是非とも早急に成立させる必要があります。

 このため、本日、地方自治法に基づく再議を行い、今月11日(火曜)午後に臨時議会を招集し、再議審議することとしましたので、お知らせいたします。

 下記の動画及び資料をご覧ください。

 

記者会見動画

 

「空飛ぶクルマ」も見据えた新たな救急搬送体制づくり・「平常時・災害時共通 災害に強い地方創生ネットワーク構築事業」について [PDFファイル/2.43MB]

 

以下が再議書です。

延総務第209号

令和5年7月7日

延岡市議会議長 松田 満男 様

延岡市長 読谷山 洋司

 

 

再 議 書

 

 令和5年第3回延岡市議会定例会において、7月7日に修正議決された「議案第9号 令和5年度延岡市一般会計補正予算」については、次の理由により異議があるため、地方自治法第176条第1項の規定に基づき、再議に付する。

 

理   由

 

 修正議決された「議案第9号 令和5年度延岡市一般会計補正予算」について、第1条第1項中「1,413,153千円」を「1,111,917千円」に、「68,678,308千円」を「68,377,072千円」に修正する内容は、以下の理由から不適当であると考える。

 

 

1. 『「空飛ぶクルマ」も見据えた新たな救急搬送体制づくり事業』の必要性について

 

 

 この事業は、令和7年の大阪・関西万博で実用化される「空飛ぶクルマ」を見据えて本市の新たな救急搬送体制を構築するものであるが、国は本年3月29日にこの事業を「デジタル田園都市国家構想交付金」による支援対象事業として決定しており、国が事業費の95%を財政支援するものである。

本市を含む宮崎県北地域は、人口約24万人を超えているものの、高度処置が必要な重篤患者に対応する3次救急医療機関は宮崎県立延岡病院一つしかない上、宮崎県立延岡病院では、専門医の不足により14年以上も神経内科が休診となっている。また、消化管出血や脳卒中の救急患者の受入体制が十分整っておらず、14年以上地元医師の輪番制で一定のカバーを行ってきたものの、地元医師会から「もはや地元の輪番制は存続できない」との厳しい意見が出続けているなど、深刻な医師不足により、救命救急体制に重大な問題が長期間生じたままになっている。

 

 また、本市は広大な市域を有し、離島・山間部を抱えている上、県北全体としても道路交通によるアクセスに課題もある中、救急出動の件数は年々増加するとともに、現場への到着時間、病院への搬送時間が長時間化しており、本市においても病院搬送までに1時間近くを要する事例もある。さらに、県内の高度医療の拠点である宮崎大学医学部附属病院との距離もかなりあり、ドクターヘリ(宮崎市内のみに常駐)でも片道30分、往復1時間以上を要する状況にある。出動要請から片道15分以内で医師による治療開始を目標とするドクターヘリの運用(「15分ルール」)において、延岡市及び宮崎県北部地域は、片道15分圏の外となってしまっており、市民の命を十分に守ることのできない、構造的な課題を抱えている。また、ドクターヘリは、夜間や雨天での運航の難しさや、離発着場の広さが必要であること、購入価格や管理運営コストの高さなどの課題がある。

 一刻一秒を争う重症患者の命を守るため、本市に常駐し(つまり宮崎大学医学部附属病院まで「片道」だけの時間でアクセス可能)、狭い箇所でも離発着ができ、低コストで、夜間や雨天での運航も今後可能となる手段により、迅速な患者搬送または医師の現場派遣を実現する救命救急体制を一日も早く構築する必要がある。

 

 さらに、今後30年以内に70~80%の確率で発生すると言われている南海トラフ地震により甚大な津波被害も想定される中、道路交通網の寸断による多数の市民の被災・孤立に備えた「空路による救援物資や医師又は怪我人等の派遣・搬送体制」も一日も早く確立する必要がある(この必要性はこれまで陸上自衛隊からも指摘されている。)。

 災害はいつやって来るかわからない。一日も早く新技術による救急救助体制を構築する必要がある。

 

 こうした状況の中、また県がドクターヘリについて県立延岡病院に導入することが難しいとの見解をこれまで示している(令和4年9月9日県議会での知事答弁)状況の中、下記のような特長(日刊工業新聞社「空飛ぶクルマのしくみ」(慶應義塾大学中野冠教授監修・同大学空飛ぶクルマ研究ラボ著)及び同研究ラボ調査結果による)を持ち、我が国で令和7年に実用化される「空飛ぶクルマ」を活用することは極めて効果的である。

(1)コストの低さ 

 ドクターヘリの購入価格は1機11億円程度であるのに対し、「空飛ぶクルマ」は1~2.5億円であり、また、ドクターヘリの管理運営コストは2億5千万円程度であるのに対し、「空飛ぶクルマ」はその2分の1から4分の1とされている。

(2)ドクターヘリよりも狭い場所での離着陸が可能  

(3)低騒音

(4)夜間や雨天でも運航可能となる

(有視界飛行方式のヘリコプターと異なり「空飛ぶクルマ」はデジタルによる遠隔操縦や自律飛行も可能)

 

 また、この事業は、「空飛ぶクルマ研究ラボ」を有する慶應義塾大学SDM研究所と本市が令和3年12月27日に締結した連携協定に基づき、旭化成株式会社、宮崎大学、延岡市医師会、宮崎県立延岡病院などと綿密に連携、協議を行いながら進めてきている。

 長年深刻な医師不足が続く本市及び宮崎県北部地域の現状を打開するために、他自治体では学べない、新技術による救命救急医療の研修が本市で受けられることにより研修医等を増やしていくことも急務であり、その点からも本市はこれまで宮崎県立延岡病院と綿密に協議を重ねてきている。

 

 さらに、この事業の予算計上に至るまでには多くの説明、周知等を行ってきている。

 すなわち、まず令和3年12月27日に、本部 仁俊 延岡市議会議長(当時)立会いのもと、本市は慶應義塾大学SDM研究所と連携協定を締結したところであり、この内容は多くの新聞やテレビが報道を行った。その後、シンポジウム等を8回、動画配信を6本(現在も視聴可能)、スマートシティ推進協議会(延岡市区長連絡協議会、延岡市医師会、延岡商工会議所など25団体で構成)での協議を4回行ってきたほか、この事業の前段として令和4年度に実施した『「空飛ぶクルマ」も見据えた新たな救急搬送体制づくり事業』についても、議会の予算審査特別委員会での審議を経て既に令和4年7月29日に議会で予算が可決された上で実施してきている。且つ、今回の予算案については、議会に対し、本年3月23日に事業申請・パブリックコメントの実施・6月補正予算への予算計上について正・副議長に説明、同月24日に全議員に説明資料を配布している上、パブリックコメントを実施し、その結果については、6月7日に正・副議長に説明し、全議員に資料を配布するとともに、6月補正予算案については、同日に正・副議長及び議会運営委員会委員に説明している。

 このように、議会や市民、関係団体に対し、この1年半説明等を何度も積み重ねてきている上、このたびの6月議会も予算案を6月9日に発表し、7月7日の議会終了日まで約1か月間、検討期間があったことから、予算案の審議の時間が短いということにはならず、議会の「もっと時間が必要」との主張には根拠がない。

 

 さらに言えば、議会の予算審査特別委員会の議事日程は市長が決めるものではなく、専ら議会が決めるものであるが、市長からは再三にわたり、「審議時間がもっと必要ならば行政側はいつでも、何時でも何日でも議会審議に応じるので、是非6月議会で審議を尽くして欲しい」と要請したが、これを却下したのは議会側である。

 なお、この事業では、空飛ぶクルマは購入しないなど、高額な備品購入などは行わず、離着陸地選定、運航ルート決定、迅速且つ効果的な医療処置のための救急車・航空モビリティ・病院間の患者容体データ送受信システムの構築など、いわゆるソフト事業を中心に行うものであり、実際に運航する際は委託による方法が考えられる。併せて、運航費用については今後国・県等との費用負担の協議も行うことになると考えられる。

 

 

2. 「平常時・災害時共通 災害に強い地域創生ネットワーク構築事業」の必要性について

 

 

 この事業も、本年3月10日に国の事業採択を受け、国の強力な財政支援のもと実施可能となった事業であるが、平常時には出張者や観光客の「のべおかCOIN」による市内消費の拡大(「のべおかCOIN」は市内491(本年6月30日現在)の加盟店のみで利用可能な上、今月中にはタクシーでの導入も可能となる予定で、市内消費拡大を実現する極めて効果的な手段である。)や出張者・観光客のニーズ把握及びニーズに応じた効果的な情報提供、各市民のニーズに応じたイベント情報や行政情報の提供などを行うとともに、災害時には携帯電話が不通になっても主要避難所や交通結節点等での通話や情報送受信を確実に確保し、安否確認、被災者支援、生活必需品の配送等を行うものである。特に、「想定外」の災害が頻発する中、風水害(最近は台風が来なくても線状降水帯による甚大な被害が全国各地で頻発している)と地震・津波による被害の両方の危険に常にさらされている本市の市民の命や暮らしを守るため、この事業は一日も早く着手し、完成させる必要がある。

 

 この事業も、これまで多くの本市での検討や関係者のご尽力の積み重ねの上に予算計上したものである。すなわち、平成23年の東日本大震災の際、広範囲・長時間にわたり電話やインターネット等が不通となり、被害把握や対策着手に大きな支障をきたしたことを教訓に、全国で初めて、令和4年8月から本市で災害時の生活必需品の確保についての検討が我が国を代表する生活必需品物流企業や慶應義塾大学SFC研究所等との連携のもと開始され、21の市内物流関連企業や小売業等のヒアリングも行った上で、本市の小売店舗には生活必需品の在庫は極めて少ないため、被災時に本市内に生活必需品が届くための対策が必要不可欠であるとの指摘を含んだ最終報告が本年5月になされたところである。またシンポジウムも本年2月27日に行われている。

 本市としては、それを受けて、市内の物流拠点等から避難所等に確実に生活必需品が届くための「ラストワンマイル」の物流確保のためのネットワーク構築が求められているところである。

 また、本市はこれまで「逃げ遅れゼロ」実現のため指定避難場所の選定・追加や第二次津波避難施設等整備計画の策定、高齢者や障がい者等の避難行動要支援者の支援等に取り組んでいるが、これらはあくまで避難所・避難場所が安心・安全な場所であることを前提としている。この前提は、通話や情報受発信が確実に確保されていることや、避難所で数日以上過ごすための生活必需品の確実な確保により成り立つものである。

 

 さらに、このネットワーク構築は、単に通信衛星によりインターネットがつながれば良いというものではない。すなわち、外国の施政下にある外国の民間企業の通信衛星サービスを利用するのではなく、セキュリティとプライバシーが確実に守られる通信衛星を用い、且つ、生活必需品の注文から配送までの情報入力を民間物流企業のシステムの中に入って安全・迅速・正確・効率的に行うためのネットワークサービスを提供する必要がある。この事業はまさにこれらの条件を満たしている。

 また、ネットワーク完成後の運営コストも年間600万円程度と財政負担上問題のないものとなっている。(なお、アメリカのSpaceX社の衛星通信サービス「スターリンク」の1回線当たりの料金は月63,000円であるのに対し、この事業の基本料金は月5,500円で済むなど、コスト面でも優れている。なお「スターリンク」では各種システムの提供(情報収集及び提供、のべおかCOIN付与、安否確認、避難所への物資輸送など)はできない。)

 

 この事業についても、議会に対し、本年3月24日に採択事業の説明・パブリックコメントの実施・6月補正予算への予算計上について説明し、全議員への資料配布を行ったのみならず、本年5月にパブリックコメントを実施し、その結果について、6月7日に正・副議長に説明し、全議員に資料を配布するとともに、6月補正予算案については、同日に正・副議長及び議会運営委員会委員等に説明している。6月議会最終日は7月7日であることから、これまで十分な検討審議時間が確保されていたところであり、「引き続き審議時間が必要」との指摘には根拠がない。

 

 

3. 議会からの指摘について

 

 

 これまでの議会での質疑の中で、内閣府作成のQ&Aをもとに、「デジタル田園都市国家構想交付金に申請するに当たっては、実質的に議会から了解を得られているなど、当該事業を含む補正予算が成立することが確実に見込まれている必要がある。」との指摘があったが、内閣府からはそのようなことは求められておらず(内閣府に確認済)、また、そもそも予算は、首長が議会を招集し、予算案を提案し、審議された後に議決により決定されるものであることから、議会招集前に議会が予算案を了承することはあり得ない。また、そのような考えは、議会や市民をないがしろにし、地方自治制度を形骸化させるものであり、到底容認できるものではない。

 

 「市が予算に関して議会から同意を得ているとの説明を国にしたのではないか」との指摘もあったが、市長は、令和3年10月5日に、議会全員協議会において「空飛ぶクルマ」に関する取組みを含め、本市のスーパーシティ構想の説明及びスーパーシティに選ばれなくても様々な可能性を捉えて国に事業申請していくことを説明したが、一方で、市として国に対し事前に議会の同意が得られているとは説明していない。

 

 また、「空飛ぶクルマ」の実現可能性について疑問視する指摘もあったが、大阪・関西万博での実用化方針は既に表明されており、また、我が国の「空飛ぶクルマ」の専門機関の5年後の見通しのもと、旭化成株式会社や宮崎大学、宮崎県立延岡病院等とも協議し、この現実的な目標に向けしっかりと取り組み、成果を上げていくことを確認した上でこの事業を国に申請し、国が審査を行った上で、本年3月29日に国として事業採択を決定したものであることから、事業を進める上での問題はない。

 さらに、議会では「他の自治体の先進事例の調査が必要」との指摘もあったが、本事業は本市こそが先進自治体として全国のモデルとして採択されたものであり、その指摘も的を射ていない。なお、他の自治体(大分県大分市、愛媛県今治市・新居浜市、岡山県笠岡市)の有人試験飛行の模様はインターネットで容易に視聴できる。

 

 

4. 6月議会での予算成立の必要性

 

 

 仮に9月議会に先延ばしになると、事業開始が3か月遅れ、今年度に予定している取組みが年度内に執行できないなどの影響が生じる。

 例えば、空飛ぶクルマの延岡市内での試験飛行を踏まえた離着陸場選定、運航コース決定などの調整、検討に遅れが出る上、今年度、執行予定だった事業について、来年度予算枠の中で国の補助が実施されるかについても見込みが立たない。(来年度予算では、本市よりも後に採択決定を受けた自治体の事業費との競合が生じてしまう。)

 

 また、平常時・災害時共通ネットワークについては、令和5年度限りの事業として国が採択決定したものであり、災害の備えとして一日も早く運用を開始する必要があるにもかかわらず今年度中の運用開始は困難になる上、今年度執行できなかった事業の予算が来年度国から交付金対象事業として認められることは考えられない。さらに、「令和5年度に全ての事業が完了しなければ所期の目的が達成されない」と国が判断し、交付金による支援を行わないと判断することとなれば、全額市負担で事業を行うか、事業を取りやめるか、のいずれかを選択しなければならなくなるおそれがある。

 

 延岡市としては、市民の命や暮らしを守り、安心・安全を確保する使命を果たしていかなければ、人口減少に歯止めをかけ地方創生を実現することは難しい。

 したがって、国が承認した予算全てを今年度中に執行することが是非とも必要である。

 なお、国も採択自治体の早期の予算成立・事業実施を強く求めている。

 

 以上のことから、令和5年第3回延岡市議会定例会で修正議決された「議案第9号 令和5年度延岡市一般会計補正予算」については異議があるため、再議に付す。

皆さまのご意見をお聞かせください

お求めの情報が充分掲載されていましたでしょうか?
ページの構成や内容、表現はわかりやすかったでしょうか?
この情報をすぐに見つけられましたか?
Adobe Reader<外部リンク>
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)