職員への市長メッセージ

2010年7月30日 「伝える力」を高めよう

 皆さんこんにちは。市長の首藤です。

 口蹄疫の問題で、ようやく非常事態宣言が全面解除になりました。これまで職員の皆さんには消毒ポイントなどで奮闘してきていただいています。よく頑張ってくれているという、外部からのお褒めの言葉も頂戴しました。本当にご苦労様です。また企業や団体からも防疫活動へ多くのボランティア参加があり、個人ボランティアも含めると延べ3000人にものぼる活動となりました。こうした市民の皆さんの活躍も他の地域では例のないものです。本当に頭が下がります。協働の地域力が発揮できたと思います。

 非常事態宣言解除は喜ばしいことですが、防疫体制は段階的に縮小していく予定ですから、今しばらくは気を抜かぬようにお願いします。そして今後は地域経済の復活を目指してシフトチェンジをしていきましょう。

 さて、先日の参議院選挙で、いわゆるタレント候補の多さが話題になりました。タレント出身であろうがなかろうが、肝心なのは本人の能力と情熱、それにしっかりした世界観や国家観などなのだと思います。同じことは世襲議員の問題についてもいえるでしょう。

 ただ実際には、候補者のそうした一番大事な要素が、選挙においてなかなか有権者に伝わらないというのが難点です。

 原因はいろいろ言われます。「日本の歴史的な政治風土」「有権者の関心の低さ」などなど。そして大事な要素が投票行動につながらない結果として、「テレビで見て知っているから」程度の理由でタレント議員が誕生するわけです。この場合にその本人が未熟であったり能力が低かったりすれば、結果として国民の利益を損ねることとなります。

 つまり、問題の本質は、「タレントであること」ではなく「大事な要素が伝わらず選ぶ基準となっていないこと」なのですが、この「伝える」ことの難しさを私自身も選挙に際して何度も実感しました。そして、この「伝える」ということは、選挙の話にとどまらず、私たちの日々の仕事においても大変重要なポイントだと感じています。

 最近、元NHK報道記者池上彰さんの「伝える力」という本(PHPビジネス新書)を読みました。「話す」ことと「書く」ことを中心に、コミュニケーション能力としての「伝える力」について、大変読みやすく書かれています。仕事の「できる」「できない」を決定づけるのは意外にこういう基礎的な部分によるものが大きく、池上さんも、コミュニケーション能力によって業績が左右されることは往々にしてあると述べています。

 さらに、記者として訓練を受けたときに、「中学生にもわかる原稿を書け」と指導されたというくだりもありました。今週の子ども議会ではなかなか的を射た質問が多かったので感心しましたが、それに対する答弁は通常の議会答弁とはおのずと目線の違うものになります。かみ砕いた、よりわかりやすい表現でなければ通用しません。

 ここのところの心構えが、普段の情報発信には不可欠です。それはなにも広報広聴係の仕事に限ったことではなく、市民とのすべての接点における表現のあり方の問題です。

 折りにふれ、各課で作成される説明文のあれもこれも言おうとする結果、日本語としてまとまりのないおかしな文章になっている場合もあります。

 日常の実務において、我々は法に基づいた正確さを求められる仕事をしています。国や県とのやり取りにしても、やはり抜けのない正確な文書によるのが当然の姿でしょう。しかし、市民に何かをお知らせするという場面では、頭のスイッチを切り替えることが必要です。すなわち、正確さよりもわかりやすさを最優先する思考回路に、ということです。

 以前のメッセージで、齋藤孝さんの「視点を移動する作業」という話を紹介しました。どう表現すれば相手にわかってもらえるかと想像しながら話したり書いたりすることはとりもなおさず視点を相手の側に移動する作業そのものですし、それはすなわち思いやりの気持ちを持って表現することともいえるでしょう。

 市全体の「伝える力」を高めていきたいものです。