皆さんこんにちは。市長の首藤です。
当初予算のみならず矢継ぎばやの補正予算によって、各課所において取り組むべき事業が次々にアップしてきています。仕事のボリュームが増えて大変だとは思いますが、特に緊急経済対策や緊急雇用対策という意味合いの事業についてはスピードが命です。鋭意取り組んでいただいているようですが、重ねて、できるだけ早く発注を行ってもらうようお願いします。
いくつかの市内企業の倒産などが現実に起こっています。国がもっと早く予算化していてくれたら、そして市としての事業をもっと早く実施できていたら当座をしのげるケースもあったのではないかと心を痛めています。
ところで、昨今報道される事件などを見ると、昔とはずいぶん様相が変わってきているようです。殺人事件などにしても、最近は凶悪化がはなはだしい上に事件数自体ずいぶん増えていると感じるのは私だけでしょうか。統計上は違う見方もあるようですが。
ひところから、「キレる」という言葉が使われるようになりました。突発的な激情に身を任せて、人としての理性をかなぐり捨てた行動に走ってしまう傾向が強まっているわけです。また、インターネットの世界には読むに堪えない誹謗中傷、罵詈雑言があふれています。匿名の世界は、ストレスの陰険なはけ口として、人の攻撃性をより強めるのでしょう。
脳神経外科医で、脳の覚醒下手術(患者の意識が覚醒したまま頭蓋骨を外して患者と会話し確認しながらの脳手術だそうです!)の権威である篠浦伸禎氏は、雑誌「致知」の対談で「右脳は逃避、左脳は攻撃に繋がっているが、現代社会はストレスによって右脳の働きが弱まり、左脳の持つ攻撃性が顕著に表れている。」という意味のことをおっしゃっています。左脳は基本的に、合理的、攻撃的、私的な脳であり、右脳は情緒的、協調的、公的な脳であると述べられたうえで、そのどちらがいいということではなく、バランスこそが重要なのだと強調しておられます。他人の心を理解し共感するのは右の側頭葉や頭頂葉なのだそうですから、こうした面を強化することによって「公的な脳」の働きを高めることが必要だと述べておられます。すなわち、人の役に立つことに喜びを感じるという公の精神がその人間自身を救うということを、脳神経外科的な立場から説明しておられるわけです。
ちょっと脱線しますが、いま我々が取り組んでいる「市民協働のまちづくり」は、実はそういう面での効果が高いのだということもここで指摘しておきたいと思います。
地域の皆さんがいっしょに汗をかき既存の建物を改修して富美山地区福祉センターは出来上がりましたし、あおい区の側溝も同様に協働共汗道づくり事業で完成しました。その過程で地域の中での人と人のきずなが強まり、コミュニティのさらなる向上へとつながっています。
篠浦先生の言葉に戻りますが、「精神疾患に悩む患者さんの右脳の働きを強化しようとして、音楽や運動を奨めたり、いわゆるポジティブシンキングを試したりしたがどうも根本的な解決につながらない。最終的に行き着いたのは『人間学』の勧めだ。」ともおっしゃっています。(以前延岡にも講演にこられた方ですが)神渡良平さんの人間学についての著書を患者さんに勧めたところ、目覚ましい改善が見られたのだそうです。以来、200人以上の患者さんにその本を渡し続けておられます。
その「人間学」でいうところの真意は、「私」を離れ、卑小な被害者意識などに流されず真の主体性を高めて、自分を超えた“大いなる存在”に自分の生き方の座標軸を見出すことであるということです。
大不況、格差拡大など大きな課題を抱え、メンタルヘルスに気を遣わねばならない現代社会ですが、健全なる精神の本質はどうもこういうところにあるのではないかと思います。