職員への市長メッセージ

2008年1月18日 庁内分権の意味

明けましておめでとうございます。市長の首藤です。今年もよろしくお願いします。

 アメリカ大統領選挙に向けた共和党と民主党の党員集会や予備選挙がこれから賑やかに行われます。
 民主党のオバマ候補は「変革」を訴え、ヒラリー候補は「変革のための経験」を訴えていました。選挙ではいろんなスローガンが掲げられますが、「情熱」、「誠実」、「信頼」などといった常用語がとうの昔に擦り切れ陳腐化してしまった中で、何度使われても新鮮さを失わない言葉がこの「変革」なのだそうです。
 「変革」あるいは「変化」の中身が大事なのは当然ですが、それ以前に、「変えること」自体に価値があります。
 日常の仕事が惰性に流されているということは、皆さんの周りにはないでしょうか。そうしたことがあるとして、それには気が付いているもののなかなか改革に手が付かないというのが、そこかしこの現実でしょう。しかし、実はこれ以上に深刻な状況があります。社会や組織が自ら変化していく努力を怠り硬直化すると、惰性に流されていてもそれに気付くことすらなくなっていくという状況です。
 絶えざる「変化」への意識さえあれば、こうした硬直化を防ぐことができます。この点について、ぜひご理解いただきたいと思います。我々は常に、「変化を求める」という基本姿勢を持っておかなければなりません。
 現在進めている庁内分権についても、このような観点から捉えることは重要です。これまでの議論の中で「なぜ今のままではいけないのか?」という意見もあるようですが、すでに1年を越える議論をしてきていますので、庁内分権推進そのものは既決事項です。「変えるべきか否か」でなく、「どう変えるのか」という視点からの発想と建設的な議論をお願いしたいと思います。

 今年の仕事始め式でイチロー選手のインタビュー番組の話をしましたが、少し補足したいと思います。
 インタビュアーから「自分自身のバッティング像について、目指すべき姿が暗い夜空の中に星が光るように見えているのですか?」と質問されて、イチローは「そんなことはありません。真っ暗闇ですよ。真っ暗闇の中で自分はもがき苦しんできています。もがき苦しむことで、そのうち仄かに光が見えてくるのです。もし自分がもがき苦しむことをしなかったら、一生涯ずっと真っ暗闇のままだったでしょうね。」と答えていました。
 分野は違いますが、私たちにとってもこれは大事なことです。「もがき苦しむ」ということは、目の前の仕事に忙殺されることとは決定的に異なります。山ほど仕事がある中で、こなすべき仕事はもちろんきちんとこなして行かなければなりません。しかし、その先にある「本来いかにあるべきか」という姿、すなわちひとつ上の次元の目標を追求することに、常に意識を置いていただきたい。そのために、「もがき苦しんで」いこうということです。
 先日、国民健康保険課と健康管理課から、今年から実施される特定検診に関する実施計画の話を伺いました。この実施計画は良くできており、延岡モデルとでもいえるような、気持ちのこもった手作りの計画になっています。
 私からは、次のような感想を述べさせてもらいました。
 「特定検診の受診率が65%という基準に達しないと国からペナルティが課されることになりますから、どうやってそれをクリアするかという点に意識が向いてしまいがちですが、ペナルティを回避することがこの事業の目的ではありません。大事なことは、受診率の向上をメタボリック症候群やその予備軍の減少にどうつなげるかであって、受診率向上策だけに意識が向いていると道を間違うことになるかもしれません。担当課としてこの点はしっかり理解していただいているとは思うけれど、この実施計画に取り組むにあたって、あらためて意識してもらいたいと思います。」
 つまり、こういうところにこそ、もがき苦しむ思いをしていただきたいということです。
 特定検診の受診率を向上させるための取り組みはいわば目の前にある仕事であり、当然やらなければならない受け身の仕事です。そこに囚われるのではなく、その先にある「市民の健康増進を図る」という本来の目的に視点を置いたうえで目の前の仕事に取り組んでいただきたい。
 庁内分権のねらいは、そのような、仕事の本質的な目的を突き詰めていくためにもがき苦しむ思いを「現場からの発想で」してもらうところにあります。それぞれの部および課において、そのような観点からの企画立案が行われることを期待しています。

 第5次長期総合計画も議決を受け、目指す都市像は「市民力・地域力・都市力が躍動するまち のべおか」と決定しました。」この都市像を漢字一文字で言えば、『賑』になろうかと思います。賑わいのあるまち延岡を目指して、今年もみんなで頑張りましょう。