皆さん、あらためて、新年明けましておめでとうございます。市長の首藤です。本年もどうぞよろしくお願いします。
あっという間に一年が過ぎていきますね。時の流れの速さをあらためて感じます。その中で私たちは、ついつい「日常」に流され埋没してしまいがちですが、新しい年を迎えるというこの節目にあたって、足元を見つめ直す機会とできればと思います。それは、別の言葉で言えば、「原点に立ち返ってみる」ということでしょう。
昨年11月の福島県知事選挙において、伊達市では、これまで150分かかっていた開票作業の時間をもっと短くできないかと知恵を出し合い、結果として70分に短縮しました。また、12月の茨城県議会議員選挙においても、取手市で同様の取り組みがなされました。開票事務に従事する職員を削減したにもかかわらず、これまで約80分かかっていた開票作業が半分の42分に短縮できたのです。
これは、テーブルの配置を見直して移動の歩数を減らしたり、スリッパをやめて運動靴にしたりするなど、職員からの改善提案による「0.1秒を短縮する努力」を積み上げた結果だといわれています。目標を達成するために作業のプロセスを全員で検討しなおした成果です。もちろん、当然ながら正確を期すのを前提としての話です。
民間の生産現場では、このようなプロセスの見直しが日常的に行われています。例えば、工場における大災害をゼロにするという目標に対して、皆さんが責任者の立場であれば、関係者にどういう取り組みを指示するでしょうか。ちょっと考えてみてください。
一般的には、「災害を起こさないという意識を徹底するよう、いろいろな機会に全員に呼びかけて注意を促す」というような発想が先ず出てくるかと思いますが、意識の徹底を促すだけでは効果は薄いようです。
実際に製造現場ではどういうことが行われているのか、少し紹介します。
「ハインリッヒの法則」というものがありますが、これは労働災害における経験則のひとつです。1つの重大事故の背後に29の軽微な事故があり、さらにその背景には事故につながりかねない300の異常があるというもので、「1:29:300の法則」ともいわれています。
つまり、ひとつの重大事故をなくそうと思えば、現場で「ヒヤッ!!」としたことや気がかりなことを300減らせばいいという理屈です。この300の「ヒヤッとしたこと」、「ハッとしたこと」、「気がかりなこと」を撲滅するために、旭化成グループではHHK活動(「ヒヤリ」「ハッと」「気がかり」という言葉の頭文字をとった活動)に取り組んでいます。
では、その活動の具体的な中身は何かというと、社員や協力業者の皆さんなどから競争で改善提案を募り、効果のありそうなものはどんどん実施して、提案者を表彰するというものです。年間数千件にのぼるこの改善提案は、内容を一つひとつみれば他愛もないと感じるものも多くありますが、しかし結果として、重大事故を予防するという大きな成果を生み出しています。
こうした取り組みが日本の製造業の生産性を世界最高レベルに高めているのですが、一方では、このような生産現場での研ぎ澄まされた取り組みに比べると、日本のホワイトカラーの生産性は先進国中最低の部類に入るほど低いと言われています。
私たちも、仕事の組み立てを再構築して生産性を高めていくという取り組みを進めねばなりません。そして、こうした取り組みこそが、行政改革そのものであると考えています。これから人員削減にも取り組んでいかなければなりませんが、人が減ることで行政サービスの質も低下させるようでは意味がありません。むしろ向上させていきたいものです。そのためには、とりもなおさず生産性を上げる取り組みが求められるということではないでしょうか。
人が減ってもサービスを低下させないというのは労働強化ではないかと言う人もいますが、そうではありません。先に述べた選挙の開票作業の例を見てもわかるとおり、これは「労働強化」ではなく「生産性向上」なのです。
少数精鋭という言葉があります。「少数にする」という取り組みは行財政改革の中でこれからやっていかなければなりませんが、これと同時に、「精鋭にする」ための取り組みも進めていかなければなりません。では、「精鋭」とはどういうことかというと、究極的には、「やる気と情熱に溢れ、知恵を絞って仕事をする」ということに尽きると思います。
日経新聞に、「玉ねぎより桃」という小見出しのついたコラムが掲載されていました。ソニーのリソースマネジメント統括部長によると、部下が一日の中でどのような仕事をしているかを5分単位で書き出させ、それを外注先の会社と検討したところ、非常に多くが外注可能な仕事であったそうです。玉ねぎの皮を一枚ずつむくように、社員がやっている仕事をひとつずつ外注して減らしていった時に、最後に何が残るのかというのが統括部長の問題提起でした。玉ねぎのように何も残らないようでは困る。桃のように、中にはしっかり種が残っていてほしいと書かれていました。その社員ならではの種、つまり付加価値の高い仕事をどう実現するかに焦点を当てることが重要です。
私たちも、自分たちの仕事がどのような内容の業務で構成されているのかを一度洗い直して、改善に向けての下地作りを進めましょう。現在取り組んでいる業務の概要を書き出し整理するところから始めて、これから1年間しっかり時間をかけて、市役所全体の仕事の見直しを進めていき、組織機構の抜本的な再編にも歩を進めていきたいと考えています。
夢を持って、一緒に頑張りましょう。
ところで、夢といえば、「初夢」というタイトルの拙文を市のホームページ内の「市長コラム」に書いておきました。空想を膨らませるのも正月ならではでしょうか。
平成19年1月15日