独立美術協会会員 池末 満
今年、延岡市美術展は60回展を迎え、この記念すべき節目の年に、審査員として迎えていただいた事をうれしく思いますと共に、その重責を強く感じました。輝かしいこの歴史は、延岡市民と市美術展に携わる人々の熱意が継承されてきたもので、心から敬意を表したいと思います。特に今回は「口蹄疫」の問題に直面され、地域の方々には大きなショックの中でも、昨年とほぼ同数の応募作品があった事はすばらしいことです。しかし、本年も例年同様、展示点数に限りがあり、半数以上を選外とせざるを得ない厳しい審査となりました。
83点の出品作品の中から39点を厳選し9点の入賞作品を決定致しました。
特選のChristopher Troutmanさんの「Vincennes vs Kagoshima」は2つに割られた2ケ所の場所が、1つの風景に繋がれた不思議な空間になっており、画中の携帯電話は、情報の同時入手を可能にし、世界中が非常に近くなったことを示している様に思われます。コンテによるモノクロームの作品ですが、確かなデッサンに裏打ちされたすばらしい作品です。
第60回記念特別賞 土肥勇志さんの「東京タワー」は、放送電波塔としての役割を終える東京タワーを人間型に変えるという、滑稽な発想で驚かされ、都会のビル群の極極細密な描写に目を見張りました。漫画のような表現に強烈な個性と現在を感じます。
準特選 髙橋絵美里さんの「ひととき」は透明水彩とパステルをつかい、水彩紙によるコラージュ、スクラッチ技法など混合技法がうまく活かされた秀作です。
準特選 野村豊さんの「ある月の夜」は、暗い画面にもかかわらず、月あかりのもと今から何かが始まる様なワクワク感のある童話の世界を感じさせてくれる秀作です。癒しの力を感じます。
奨励賞 八木千穂子さんの水彩絵具のはじき技法とステンシルの組み合わせで描かれた「庭園VI2010.6」はハーフトーンの美しさに詩情が溢れています。
荒金辰夫さんの「待つ」は調子の美しさを、黒木日良志さんの「樹魂('10-5)」は大胆な構図にエネルギッシュな筆致で強い生命感を感じました。
三瀬みのりさんの「落花生」は俯瞰の位置で描かれた植物が静謐な空間を美しく造っています。若い人ですので、今後描写の習熟度をあげ、置かれている物の存在感が伝わればと思います。
努力賞の工藤俊英さんの「観音菩薩立像(救世観音)」は黒色の下地に線描を駆使され描かれた労作です。作者の深淵な心の世界が伝わってきます。
今こそ、人間の心の底にある純な思情、湧き上がってくる熱きもの、それは生きること、勇気を持つこと、そしてこの強さの中から生まれてくる心のやさしさ、心のゆとり、どんな時代になっても、変わることなく、人が決して忘れてはいけないことだと思います。これがなければ、作品表現は弱いものになるでしょう。
今後、もっと絵を描く仲間達の輪が広がり、創作活動が人生を豊かにすることを期待して私の講評といたします。

延岡市長賞:Vincennes VS Kagoshima
Christopher Troutman さん(都城市)

第60回記念特別賞:東京タワー
土肥 勇志 さん(延岡市)
| 区分 | 賞名 | 作品名 | 氏名 | 住所 |
|---|---|---|---|---|
| 特選 | 延岡市長賞 | Vincennes VS Kagoshima | Christopher Troutman | 都城市 |
| 特別賞 | 第60回記念特別賞 | 東京タワー | 土肥 勇志 | 延岡市 |
| 準特選 | 延岡市教育委員長賞 | ひととき | 髙橋 絵美里 | 延岡市 |
| 延岡市文化連盟会長賞 | ある月の夜 | 野村 豊 | 延岡市 | |
| 奨励賞 | 延岡市議会議長賞 | 待つ | 荒金 辰夫 | 延岡市 |
| 延岡市教育長賞 | 樹魂('10-5) | 黒木 日良志 | 延岡市 | |
| 延岡商工会議所会頭賞 | 落花生 | 三瀬 みのり | 北九州市 | |
| 夕刊デイリー新聞社賞 | 庭園VI2010.6 | 八木 千穂子 | 延岡市 | |
| 努力賞 | 観音菩薩立像(救世観音) | 工藤 俊英 | 延岡市 | |
|
|
このページに関するお問い合わせはこちら |
|
|---|---|
| 文化課 | |
| 内藤記念館(882-0811 延岡市天神小路255番地1) | |
| 0982-22-7047 | |
| 0982-34-6438 | |
| bunka@city.nobeoka.miyazaki.jp | |