旧延岡藩内藤家には、能面66面と狂言面6点の合計72点が所蔵されていました。これらは17代当主の内藤政道氏から、延岡市制施行60周年を記念して市に寄贈されたものです。
内藤家の能面については、今まで博物館や美術館にもあまり知られていませんでした。最近の調査で、これらの作品が優れているだけでなく、わが国の仮面史の上からみてもかなり注目すべき点がわかってきました。これらには、桃山時代から近世初期にかけて知られている面打「天下一」の作品が多く含まれていたのです。
「天下一」とは・・・
実際には「天下一○○」という焼印が能面の裏に押されています。具体的には角坊光増は「天下一若狭守」、出目満喬は「天下一備後」あるいは「天下一淡路」、井関家重は「天下一河内」、大宮真盛は「天下一大和」、児玉満昌は「天下一近江」であって、地方長官受領の形式をとっていました。
ただし、出目満庸だけは「天下一友閑」で受領名ではなく、父是閑と同じように剃髪後の法名を使っています。
内藤家の場合、この天下一の焼印が押されているものをあげると、若狭守23点、是閑2点、近江2点、そして友閑・大和・備後が各1点づつで、合計30点になります。
所蔵能面の半分近くが「天下一○○」となるわけで、それだけに内藤家の能面には、良品が揃っているといえるでしょう。
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