自主防災組織を考える

近年、延岡市は台風による水害や竜巻災害など大規模な災害に直面してきました。災害時、何よりも大切なのは尊い命を守ることですが、行政の力には限界があります。

そんなとき頼りになるのが、地域の力、すなわち自主防災組織なのです。

自主防災組織はなぜ必要か

負傷者の運搬訓練を行う別府町の自主防災組織

延岡市では、過去幾度となく襲ってきた災害を教訓に、住民が自主的に活動する自主防災組織の結成を進めるため、平成17年7月に市消防本部に防災推進員を、平成18年4月に専任担当を配置して、自主防災組織の結成促進に努めてきました。

そして、自主防災組織が大きな注目を集める機会となったのが、平成18年9月17日に突如として延岡市を襲い、市内各地に大きな被害をもたらした台風13号竜巻災害でした。この竜巻災害によって、市内では3人の方の尊い命が失われたのをはじめ、多数の負傷者が出て、行政の力だけでは救助活動が追いつかなくなる状況に陥りました。

この時、別府町でも大きな被害を受けましたが、別府町では平成14年に発生した旭化成レオナ工場火災での経験から定期的に防災訓練を実施していたことが幸いし、被災後すぐに負傷者の救出や病院への搬送、被災した人たちへの炊き出しなど迅速に行動することで被害の拡大を最小限に食い止めることができたのです。

災害時、何よりも優先されるのは人命の救助です。台風13号竜巻災害のような大規模災害の場合には、行政の力だけでは対応しきれなくなるため、日ごろから顔を合わせている地域の人たちの集まりである自主防災組織こそが人命救助の要となるのです。

認識されてきた自主防災組織の重要性

台風14号災害以降、延岡市内でも自主防災組織の重要性が認識されはじめ、平成17年度には53組織だった自主防災組織数が、平成22年12月現在で158組織となり、約5年間で105組織もの増加となっています。しかしながら、市内全体での自主防災組織の結成率を見ると約44%ほどの水準にとどまっており、今後も自主防災組織のさらなる結成促進が求められています。

自主防災組織のリーダーに聞く

西階町あおい区 区長 佐藤武彦さん
佐藤武彦さん

西階町あおい区 区長 佐藤武彦さん

平成18年に自主防災組織を結成し、平成19年11月11日に行われた自主防災訓練には120人以上が参加するなど、地域の結束の強い西階町あおい区。区長の佐藤武彦さんに自主防災組織についてお伺いしました。

Q.自主防災組織を結成することになった理由は?

あおい区では、平成18年に自主防災組織を結成しましたが、きっかけとなったのは市消防本部の上杉防災推進員から自主防災組織を結成してはどうかと勧められたことでした。自主防災組織の立ち上げに際して、防災推進員からいろいろとアドバイスを受けたことで自主防災組織の結成が容易になり、とても助かりました。

Q.5月の県総合防災訓練や先日行われたあおい区の自主防災訓練では、多くの住民の皆さんが参加され、とても活気のある防災訓練であったように感じられました。あおい区では、どのようにして多くの皆さんが訓練に参加されるようになったのでしょうか?

かつて、あおい区では住民同士の交流があまりなく、どのようにすれば住民の皆さんが自主防災訓練に参加してもらえるのか分かりませんでした。

このことについて市消防本部警防課や防災推進員に相談したところ、組ごとに集合場所を決めるようにすると良いとのアドバイスを受け、昨年の自主防災訓練で、まず組ごとに集合し、それから組単位で訓練場所に移動するようにしたところ、組内に自然と住民同士の交流が生まれ、防災訓練が区の結束を強めることになりました。その結果、平成18年の訓練では116人、平成19年は120人以上の住民の皆さんが防災訓練に参加してくれました。

Q.あおい区では、災害発生時の区の皆さんへの連絡手段として、どのような体制をとっていますか?

あおい区では、自主防災組織の情報班を通じて組ごとに連絡網を作っており、今年の台風の際はスムーズに連絡することができました。

また、市の災害情報メールについても、半年間にわたり回覧などで登録の呼びかけを行い、ある程度は浸透したのではないかと思います。

Q.災害発生時、高齢の方や障がいのある方などの災害時要援護者の避難の際の援助方法は決めていますか?

地区内の高齢の方たちや障がいのある方、幼児などの災害時要援護者を把握し、近所の人たち4人で要援護者1人を介助するように決めており、必要があれば区長に連絡を入れ、動ける人に助けに行ってもらうようになっています。

Q.今後、あおい区の自主防災組織をどのように向上させていきたいとお考えですか?

一部には、自主防災組織を重要視していない人もいますが、私は、直接人の命を救う組織という意味で自主防災組織こそ防災の頂点に立つものだと考えています。

今後は、訓練のための訓練ではなく、非常時を想定した訓練を目指していきたいと考えています。そのためには、例えば訓練の日だけ知らせ、訓練開始時間は事前には知らせない状態で防災訓練を行うなどの実戦的な訓練にしていく工夫が必要だと思います。

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